空調服は衣類の内側に風を送ることで空気の層を作り、外気の熱を遮断する効果が得られる作業服の一種です。電動の小型ファンを動かすことで空気の層が形成され、外気の影響を受けにくくなります。ファンの多くはバッテリーを電源にしているので、長く使い続けるには充電が不可欠です。
暑い季節に便利な空調服を気持ち良く使うためにも、充電器の扱い方や互換性について学びましょう。
空調服は気密性が高い作業服に送風用のファンが取り付けられている構造になっています。空調服は多くの衣類メーカーが販売していますが、その一方で空調機器を作っているメーカーは少数に留まっています。一つの空調機器メーカーの製品を複数の衣類メーカーが採用しているのです。
そのため、同じ空調機器メーカーの製品であれば互換性があるので、充電器やバッテリーとの共有が可能になります。急に充電が必要になった場合でも、空調機器メーカーが同じであれば故障の心配をせずに充電器を使うことができるのです。
空調機器のメーカーの互換性については空調服を作っている衣類メーカーや作業服を扱う小売店で確認することができます。
空調服に取り付ける送風用のファンは異なるメーカーであっても基本的な仕組みは同じです。電源であるバッテリーから電気を取り、モーターを動かすことでファンを回します。メーカーによってバッテリーやモーターに接続する端子の形状が異なる他、消費電力に差があるだけなので、電気製品に詳しい人なら異なるメーカーどうしの機器を繋ぎ合わせる改造を行うのは難しくありません。
しかし、メーカーによってバッテリーの出力やモーターの回転数が異なるので、それを無視して強引に繋げると故障するおそれがあります。感電や火災などの重大なトラブルに見舞われる危険もあるので、端子の形状が類似している機器でも異なるメーカーの機器を繋げてはいけません。
空調服に関するトラブルで多いのが充電ミスによる故障です。過充電の状態になってバッテリーや充電器が故障するケースは珍しくありませんが、これは充電するために接続する端子に不具合が生じているのが原因です。端子に汚れや水濡れが生じている状態で接続するとショートしてしまい、過充電を防ぐ機能が正常に作動しなくなります。
トラブルを避けるには充電前に必ずバッテリーと充電器の両方の端子を確認し、汚れていたら柔らかい布で拭き取るのが効果的な方法です。工場や工事現場は空気が汚れやすい環境なので、充電器に埃が積もっていることも珍しくありません。
目に見えないほどの微小な汚れも大きな事故に繋がるおそれがあるので、充電器はむき出しの状態で放置しないように心がけます。
空調服のファンは外気を取り込んで服の内部に風を送る構造になっています。そのため、空気が汚れている環境で使用すると次第にファンの部分が汚れてしまうのです。ファンの内部にはフィルターが装着されているので服の内部が汚れる心配はありませんが、汚れが溜まると送風機能が低下します。
風が弱くなり、外気の熱を遮断するための空気の層が形成されなくなるので、空調服を気持ち良く使い続けるには空調機器のお手入れが不可欠です。フィルター部分は使い捨てか水洗いが可能な作りなので清潔に保つのは容易ですが、ファンの部分はモーターと直結しているので水洗いはできません。
水滴がモーターに入り込んでショートするおそれがあるためです。ファンにこびり付いた汚れはタオルやブラシで取り除くのが無難な方法ですが、その際も水滴が残らないように固く絞り、軽く湿らせた程度の状態で掃除を行うように心がけます。
ファンはその形状から完全に汚れを取り除くのは非常に困難です。どうしても汚れが気になる場合は新品と交換するのも選択肢のひとつになります。空調機器は消耗品扱いなので、交換用の製品を別に購入することが可能です。
交換の方法については付属の説明書で確認することができるようになっています。バッテリーが汚れた場合も軽く拭き取る程度に留め、絶対に濡らしてはいけません。空調服用のバッテリーに使われているリチウムは水に触れると急速に発熱、発火する性質があるためです。
空調服のファンやバッテリーと同様に充電器にも寿命があります。頻繁に充電を行えばそれだけ性能も低下し、遂には故障してしまうのです。プラグの抜き差しを短期間に何度も行ったり、バッテリーと接続する端子の不具合を放置することで充電器は大きく劣化します。
これは家庭用コンセントからバッテリーへ電気を通す機能に過度な負担がかかるためです。充電器の寿命は使用環境で異なりますが、約2年から3年ほどとされています。コンセントに接続して電気を通す製品なので、端子の変形やコードの一部の断線といった軽微な損傷でも決して素人作業による修理を行ってはいけません。
少しでも不具合が生じたら自分で直そうとはせず、すぐに新品と交換するのが安全に使い続けるための条件になります。